【爆発オチなんてサイテー】他人からの期待なんて爆発させて仕舞えばいいじゃない、人間だもの。

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※ネタバレ注意

正気か、この漫画は。

みなさん、こんばんは。豪雪です。

今日のジャンプ+の読み切りは本当にたまげました。何より理解するのが難しかった。主人公は映画を撮っていたはずなんですが、気づけばどこからか現実が混ざり気づけば映画の中に戻ったり。

一体どこまでが映画の世界でどこからが現実なのか全然わかりませんでした。

ところで、この「さよなら絵梨」の中で、私たち読者は一体どういう存在だったのでしょうか。

このお話は話がかなり複雑であり、読んでいる中でかなり混乱した人が多かったのではないかと思います。いや、むしろ単純すぎたとも言えるかもしれません。

だってやってることって「爆発オチ」なわけじゃないですか。

最初の爆発オチ

主人公は映画を撮ります。それも自分の母親が死ぬまでのドキュメンタリーを撮らされます。彼はその最後で、自分の母親が息を引き取るその瞬間をあえて撮らず、病院が爆発するシーンにしてしまいます。

これは映画が親子の愛情を感じさせる非常に素晴らしいものだったがゆえに、見ていた人に大きなインパクトを与えることになります。悪い意味で。

主人公が撮っていた映画は学校で放映されることになったのですが、ストーリーの中で親子の友情と命の儚さ、そういったものを見ていた観客たちはおそらくオチに「綺麗さ」を求めるようになったのではないでしょうか。

それは例えば、母親の最期の言葉で主人公の生き方が変わるような、あるいは最後に託された写真が家族写真だったかのような。そんな一般ウケするようなオチを期待し始めたのではないかと思います。

ここで実は一つそこそこ大きなネタが隠されていて、話が進むとわかるのですがお母さんは映画に出てくるような家族愛美しいひとではないそうです。しかし切り取り方次第ではとても愛情に溢れた母親らしい母親に映ったのです。

最後の爆発オチ

話は主人公の映画が放映された後に移ります。

主人公はその映画が全然ウケなかったことでかなり塞ぎ込んでしまいます。そんな中、唯一自分の映画を面白かったといってくれる存在。それが絵梨です。いつしか絵梨に誘われながら再び映画を撮ります。今度は絵梨が被写体で。

そしてまた主人公は映画を完成させます。その最中に絵梨が死んだりしたんですが、その際に絵梨の友達から映画の中の絵梨はいいところを切り取っているなどと言われますが、これもまた母親の映画を流した時と同じで、切り取った部分が全てに見えるので、元々の友達ではなかった人からしたら映画の中に出てくる美化された絵梨が全てです。

その後絵梨は生き返ります。主人公と感動的な再会を果たします。この辺はぜひ読んでください。説明が面倒くさいです。しかし、生き返った絵梨は死ぬ前の記憶がないので、主人公が撮った映画の自分を元に自分というものを再形成していくのです。

そんな彼女と出会った主人公は、絵梨を爆発させます。厳密にいうと絵梨と共に過ごし再会までした廃墟を爆発させます。

そう。爆発オチ。

何なんだ,この漫画。

人からの期待なんて爆破してしまえ。

さあ、今回の「さよなら絵梨」に「爆発オチなんてサイテー」以外の感想をつけるとしたら、

「人からの期待なんて爆破してしまえ」

ということになるのではないでしょうか。

今回の話の軸になるのは「映画を通じてオチ以外で他人に感動させていること」、「最後には爆発オチをさせているが、観客はガッカリしていること」、「映画の中の被写体はある程度美化されたもの」という様々な要素が浮かんでくるのですが、これを無理やり私たちの世界観に落とし込むとすると、「人からの期待なんて爆破してしまえ」となるんではないでしょうか。

まず、私たちは見られています。

他人から、それも他人という他人から見られています。そしてその他人が見ているのはあくまで「その人のごく限られた一部分」だけなのです。その一部分を見て嫌いになる人もいれば、好きになってくれる人もいるかもしれないですよね。

次に、その一部分を見た人は私たちに対して「勝手に期待」してきます。例えば会社で真面目に振る舞っている人が家での生活もまともなんじゃないかと期待されるような、そんな感じです。

そして、もしその期待が外れた時、他人は勝手にガッカリします。自分の中で想像していた世界とは違うので、そのギャップががっかりを生み出すのです。

あれ、これって一つ目の映画を見終わった観客や、この漫画を読み終わったときの私たちの感情と一緒じゃないですか?

勝手にこの映画は、漫画はきれいに完結してくれるだろうと思って、でも全部爆発オチになっていて、そして訳がわからないという感情になって、なんか思ってたのと違ってがっかり、みたいな気分。

それを全て爆破しても気にならない主人公、そして作者。

もしかすると作者が伝えたかったのは、周りからの期待なんて気にしなくてええんやで、ということのなのかもしれませんね。

という簡単な考察でした。ご参考までに。

現場からは以上です。